【稽古日誌】宮本荊

本番前週、稽古も色々と詰めに行き出す頃である。週が明けて小屋に入り、14日から本番が始まる。
そういえば、あまり演出的な愚痴をあまり垂れずにここまできた。おそらくグチっている場合でも無かったのだろう、自分。
今回、実は色々な想いがあって演出以前の、何を大事として作品を作るかという前提から、これまでと全く違う形にトライしてみた。言ってしまうとこれまでのやり方は間違ってたんじゃないかというくらいの方向転換をしてみたわけで、吐露すると、少なくとも己の中は大荒れだった。
具体的にどういう転換?というのは上演に先立って言うものでもないのでそっと仕舞っておくが、そもそもその方向転換とやらをやってみるために今回の公演を企画し、そしてそれをやってみるために、これまでと同じ方向の稽古のやり方だと成立しない、なんならグデグデになって中途半端にすらならないような脚本にしたのだった。そして同じ理由で、執筆時点で有ったビジョン、完成予想図のようなものを(当社比で)ほぼ破棄して、進行中も極力それを自分の頭の中で先行して確定させないようにしてきた。してきた、というか努めた、というかがんばった。
その結果、実際のところ、稽古中にその場で何か光ったり、光らなくてめげたり、他の皆さんから何かをもらって話の本筋自体が躍動して驚いたり、というような演劇青春馬鹿な感覚が久々にあったのも確かだ。だが当然その分、着地点が見えない恐怖の時間も多かった。恐怖の時間自体は悪いことではないし寧ろあるべきだと思うが、なんにせよ心穏やかではなかった。もうこれまでのやり方で作ってしまおうかと、心が劇画調になったことも何度かあった。
しかし、ここからが本題だが、今回の出演陣の皆さんのおかげで前述のアップダウンを総じてプラスに持って行くことができそうだ、というところまで来られた。大変感謝している。各々タイプや姿勢は(正直なところ当初思っていたよりもかなり)違うが、むしろそれがよかったのかもしれない。
ここからは、色々なものをくださったこの出演陣に報いるためにも最上の完成に持ってゆくことができるかどうかというプレッシャーと戦って精神を削ってゆきたいと思う。酒など飲んでいる場合ではない。

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